ブラック企業の厄介なところは、社員全員にとってブラックではない、というところです。
自分の仕事がブラックだと認識していない人とは
たとえば、仕事量と難易度が自分に適した人。
ブラック企業では、全員が長時間労働・重いノルマを課せられているわけではありません。大変な作業をしている人がいる傍ら、マニュアル完備の定量的な仕事をしている人もいます。わが社では女性従業員・パートタイマーに多いです。この人たちにとってわが社は、自分の仕事に関して言えばブラックではないとの認識を示す可能性が高いです。
次に仕事を采配できる立場の人間。思い付きを口にして、たいして深く考えず、それを手足となって動く下級職にやらせる。結果だけを受け取り、好き放題御託を並べて批評する。特にやばい思考が、
「うまくいったら俺の手柄、そうでなければお前のせい」
コンプライアンス警察に早く検挙されてほしいですね。
こういう人間はほとんど仕事をしていないので、毎日定時で帰れます。
このように、ブラック企業に勤めていながら、ブラックの洗礼を受けていない人もいます。ですが、腐ってもブラック企業(?)、そのブラック体質がにじみ出る場面が日常の端々にありますのでご紹介します。
ブラック体質がにじみ出る場面とは?
上のセクションで、ブラックの洗礼を受けていない人もいると書きました。ですが、ブラック企業にはブラック企業たるゆえんがあります。
たとえばマニュアル完備のパートタイマーがコピー作業をしているそのすぐそばで、
「〇〇!ちょっと来い!」
とブラック被害者が呼ばれる声を聞きます。突然の大声に思わず肩をすくめるパートタイマー。
「これは△△しろと言っただろ! なんでこんなことになってるんだ!」
とくそデカい声で叱責する声がフロアに響き渡ります。
世の中には、自分がされているわけではなくても、怒号や罵声が耳に入るだけで気分が悪くなったり、精神的に不安定になったりする人がいます。そのような人にとっては、業務内容が適量でも環境がブラック環境となり、パフォーマンスや精神面、最悪私生活にまで影響を及ぼします。
私の会社でも、私が新入社員教育を施した将来有望な19歳の若者がいましたが、自分は何もされていないにも関わらず、そのブラック環境に耐えられず精神を病み、半年で退職してしまいました。
ブラック企業はコンプライアンスに対する意識が押しなべて低い
あくまで主観ですが、先回の記事や上述の記事のように、ブラック企業の根底には、一様に共通の面があります。
それは、コンプライアンス意識が異常に低いということです。
わが社では、パワーハラスメントに対する意識が致命的に低いです。
例を挙げましょう。
なにか無茶ぶりを受けて、それを諫める場面。
うまく言語化できなくても、これまでの経験から上司の指示が破綻することが目に見えており、やるだけ無駄のノルマが課せられたとき、達成が不可能ですと伝えたとします。
すると上司は
「やらない言い訳などいらない!」
と一蹴します。
やってみなきゃ結果は分からない、諦めたらそこで試合終了だよとでも言いたいのでしょうが、ビジネス上のこれまでのデータや実績から判断しているこちらの諫言に耳を傾けようともしないその姿勢は、過去から何も学ばない愚か者の発言としか映りません。
過剰なノルマを課せられた現場は、やるしかないと腹を括ってとりかかります。
結果、そのプロジェクトを終えたとします。
そしたら上司の中では「俺の命令通りに動いたらできただろ。俺は正しいんだ」
と自分をほめちぎります。
実情は、現場が長時間残業や仲間の手を借りてぼろぼろになりながら得た結果であり、数字上の実績は見る影もありません。ただ現場が必死に納期を守った結果です。
社長への報告は当然その上司が行い、手柄を自分のものとし、社長も実際に金を残した功労を称え、この上司の行動を是とします。そこにパワハラの温床が隠れていたとしても、報告書にそんなものの記載欄はありません。
上から押し付けられたノルマを達成するため、その下の管理職がさらにその下のものに仕事を無茶ぶりする。パワハラの連鎖です。こんなもの、一個人の力で止められるものではありません。
私も管理職の一員ですので、部下に無理なお願いをすることもあります。
ですが、私は「最悪自分でやる」という覚悟をもって部下に仕事を依頼しているので、ある程度は聞いてくれます。ですが、それも結局上司の無茶ぶりという抗いがたい指示に否応なく従っているだけかもしれません。
本当のところは分からないのです。
もしかしたら、私もある人にとってはパワハラ上司なのかもしれない。
そう思うと、胸が苦しくなります。
今、ブログを書いているのは、会社で達成できない人助けができる可能性があるから、というのもあります。本来仕事とは、誰かの困りごとを解決することです。本職でできていない人助けを、このブログ執筆という作業でできる可能性があります。
誰かの悩みを解決する記事がかければ一番いいですが、不安を取り除く、勇気を与える、きっかけを与えるなど、何かしらのポジティブな影響を与えられたらいいなと思い、執筆をつづけていきたいと思います。
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