初版から23年も経ってから初めて手に取りました。一言でいうと、読み物としても面白かったし、一度しかない人生をどのように歩むべきか考えさせられる良著でした。あくせく働くことに疲れてしまっている人にぜひ読んでもらいたいですが、そんな時間がないという人のために、内容をざっくりまとめました。
著者の一番言いたいこと
「それを買うお金はない」とあきらめるのではなく、「どうやったらそれを買うお金を作り出すことができるか」を考えて、「ラットレース」から抜け出せ! です。
ラットレースとは
会社に就職→収入を得る→支払いをした残りで生活→年収を上げていく→支払いも増えるを繰り返し、入ってくるお金は増えるが出ていくお金も増える為、手元にお金が残っておらず、いつまでも働き続けるしかない状態を指します。
ラットレースから抜けるというのは、自身が働かなくても収入>支出の状態を維持し、経済的に自由になるということです。
ラットレースを抜け出すために考えなければならないこと
著者はラットレースから抜け出すための考え方や身に着けるべきスキルを6つの章に分けて教えてくれています。
- 金持ちはお金のためには働かない
- お金の流れの読み方を学ぶ
- 自分のビジネスを持つ
- 会社を作って節税する
- 金持ちはお金を作り出す
- お金のためではなく学ぶために働く
1.金持ちはお金のためには働かない
私たちほとんどの日本人が、「なんのために働いていますか」と聞かれると「お金のために」と答えると思いますが、著者はこれを真っ向から否定します。
著者はお金のために働くというのは、自分の時間を時給いくらかで切り売りすることとなり、いくら稼いでも働くのを辞めてしまったら生きていけない、つまりラットレースの状態を続けることになってしまうと説きます。
2.お金の流れの読み方を学ぶ
いくら就職に有利な資格を取ろうが、がむしゃらに会社でがんばろうが、自分に入ってくるお金は会社が決めた給料分だけです。これはお金の流れを他人に握られている状態であり、形を変えた体のいい奴隷です。ここまでひどい書き方はしていませんが、著者の言っていることはおおむねこういうことです。
だから、まずお金がどのように動いて自分の手元に来ているのかを知る必要があると著者は説きます。お金の流れを知らないとお金の作り方を思いつくことができないからです。
3.自分のビジネスをもつ
この章では、職業とビジネスの違いをエピソードを交えて解説してくれています。その中で、お金に苦しんでいる人の多くが一生他人(のお金稼ぎ)のために働いていることを指摘し、自分のビジネスを持つことの重要性を語ってくれています。
4.会社を作って節税する
巷にはさまざまな節税対策があふれかえっていますが、個人(従業員)のできる節税はそのほとんどが借金を増やし金利を下げる代わりに長期間利息を払い続けるようなシステムとなっています。活かさず殺さずのような、ね。
この章では、会社(法人)が行うことのできる節税の強力さを解説しています。
5.金持ちはお金を作り出す
たいていの人は一つしか解決法を思いつかない――一生懸命働いてお金を貯める、それでも足りなければ借金をする
金持ち父さん貧乏父さん
「中流以下の人はお金の為に働き、金持ちは自分のためにお金を働かせる。お金が実際に存在すると思う気持ちが強ければ強いほど、お金のために一生懸命に働く。お金は実際には存在しないものだとわかれば、速く金持ちになれる」
金持ち父さん貧乏父さん
著者は上記のように説き、私たちの誰もが持っている唯一の強力な資産は「自分の頭だ」と解説しています。
なぜ暗号資産というものがポッと現れ、一握りの人間が巨万の富を築くのか。その理由を詳しく解説しています。
6.お金のためではなく学ぶために働く
お金のために働いて給料を得、そこから支払いをして生活費を捻出する。ラットレースに巻き込まれると、このループに永遠に嵌ってしまう。
浅く広く学ぶために働くことで、いろんなスキルが相互作用しあい、自分のビジネスを持つことに繋がることを、例を交えて解説してくれています。
専門家になると、その職業での収入は上がっていきます。医者や建築家やパイロットなど、その道のプロと呼ばれる人たちのことです。ただこれも結局、自分が働くのを辞めてしまったら収入は途絶えてしまいます。有名な建築家だと意匠登録などしていれば、もしかしたら不労所得があるかもしれませんが、基本は溶接技能職が腕前を上げて給料を上げていくのと同じです。
雇われの医者なら給料の限界点、開業医であっても働ける時間の限界点があり、ラットレースにハマっているという点では同じ、金持ちと呼ばれる人達の働き方とは相いれません。
著者は自分のビジネスを持つために働き、システムを構築することを目指すよう説いています。
実践のための教え
金持ち父さん貧乏父さんの後半では、これまでに指摘してきた資産を作るということに対する実践方法として、3つの章建てで解説しています。
- まず5つの障害を乗り越えよう
- スタートを切るための十のステップ
- 具体的な行動を始めるためのヒント
1.まず5つの障害を乗り越えよう
当たり前の話ですが、お金の勉強をしたからといって、他人からもらう給料をあてにせずに完全に経済的に自立できるわけではありません。勉強をしたあと、実際に資産を形成していくにあたり、大きな障害となるものを5つ紹介しています。
恐怖心・臆病風・怠け心・悪い習慣・傲慢さ
我々凡人にとって、この章が一番刺さる内容だと感じました。著書の中ではひとつひとつを丁寧に詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
2.スタートを切るための十のステップ
この章では、お金にかんする才能を目覚めさせることが重要と力説し、そのための方法を記しています。
- 強い目的意識をもつ――精神の力
- 毎日自分で道を選ぶ――選択する力
- 友人を慎重に選ぶ――協力の力
- 新しいやり方を次々と仕入れる――速習の力
- 自分に対する支払いをまず済ませる――自制の力
- ブローカーにたっぷり払う――忠告の力
- もとはかならず取り戻す――ただでなにかを手に入れる力
- ぜいたく品は資産に買わせる――焦点を絞ることの力
- ヒーローを持つ――神話の力
- 教えることで得る――与えることの力
字面が強力ですね。この中のすべてを実践していくことが理想なのでしょうが、我々凡人にはハードルが高すぎます。
でもこの中で、私がとても感銘を受けた言葉があります。
それは強い目的意識をもつことと、毎日自分で道を選ぶ、です。
私は自分のこどもや嫁さんにも「自分の人生は自分で決めろ」と常々言っていますので、この二つは私にとってとても励みになる言葉でした。
具体的な行動を始めるためのヒント
前章を哲学だととらえてしまう人も多いことだろうと著者は考えました。行動指針としては分かったけど、実際どうしたらいいの? と思った人が多いのではないかという推測です。
これに対し著者は具体的な行動を次に記しています。
- いまやっていることをやめる
- 新しいアイディアを探す
- 自分がやりたいと思っていることをすでにやりとげた人を見つける
- 講座に出席する、自習用のテープを買う
- オファー(買付申込)をたくさんする
- ジョギング、ウォーキング、ドライブをする
- 将来の価値を見極める
- 株式をバーゲンで買う
- 適切な場所で探す
- 買い手を見つけてから売り手を探す
- 歴史から学ぶ
ロバート・キヨサキ氏は不動産投資家としておそらくこの本を書いています。ですので、すぐにできることばかりではないと思います。ですが、やれることも必ずあるはずです。
ちなみに補足すると、自習用のテープを買うというのは現代に置き換えると、何度でも復習できるサロンに登録とかでしょうか。
あと、買い手を見つけてから売り手を探すというのは、なんだか最近世間を騒がせている某中古車販売店大手の手法っぽいところもあり危険な香りがしますが、世間では当然のように行われている行為です。
信用をかけてリスクを取っているので、自分も必死に売り手を探すということなのでしょう。判断に迷うところではありますが、見込みがあればとれるリスクなのかもしれません。
私も仕事で裁量を超える案件が発生したときは、予防線を張って相手をつなぎとめてから、最大限約束を守れるように根回し、説得、囲い込みをしますので、客先対応をする仕事をしている人は多かれ少なかれやっていることなのかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか。この本は読むべきところがたくさんあり、とてもこの記事だけですべてを伝えきれるものではありません。
この記事を読んで気になった人は、一度手に取ってみることをおすすめします。
そしてこれを読んだら、著者のそのほかのシリーズ本も読みたくなるでしょう。
私はこの本の次に、キャッシュフロークワドラントの本を買いました(笑)
こちらも読んだらレビューしたいなと思っています。
ではまた。
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